2016年11月6日日曜日

電池の破壊的技術革命


フィッチは、電気自動車(EV)が競争力を増し、石油需要が想定より早く落ち込むと警鐘を鳴らす。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の石油需要の55%は車で使うガソリンなどの輸送部門。フィッチは極端なシナリオとして欧州の新車販売の5割がEVの状況が10年続けば、域内ガソリン需要は25%減ると試算する。(日経 朝 20161101 Global Eye)

2016年8月21日日曜日

関ケ原

「会見がおわり、使者たちは二ノ丸の宿舎にひきあげたあと、景勝と兼続は茶室に席をうつし、主従水入らずで茶を楽しんだ。 茶室でふたりが茶を喫しているあいだ、先刻の使者についての話題はどちらもいっさい口にせず、菓子の話だけが出た。 松風という京菓子である。 その菓子が、茶菓子として出ている。」(司馬遼太郎 『関ケ原』) 文藝春秋2016年8月号 名作 名食より

2016年7月17日日曜日

イギリス人の歴史観にもとづくイギリス外交の勢力均衡政策

「伝統的なイギリス外交の勢力均衡政策とは、大陸ヨーロッパが一つの強大なパワーで統一され、イギリスが孤立しないように、常に列強間の勢力をバランスさせる。これが近代イギリスの「勝ちパターン」であったと言ってよい。」(BUNGEISHUNJU 2016.7, P164) 文藝春秋 2016年 07 月号 [雑誌]

2016年6月25日土曜日

この峠の頂上に、天下茶屋といふ、小さい茶店があって

「御坂峠、海抜千三百米。 この峠の頂上に、天下茶屋といふ、小さい茶店があって、井伏鱒二氏が初夏のころから、ここの二階に、こもって仕事をして居られる。 私は、それを知ってここへ来た。 井伏氏のお仕事の邪魔にならないやうなら、隣室でも借りて、私も、しばらくそこで仙遊しようとおもってゐた。」(太宰治『富嶽百景』)文藝春秋 2016年 06 月号 [雑誌] 名作 名食より

2016年5月1日日曜日

1986年の比較試験結果:肺がん検診での胸部エックス線撮影が「有 害 無 益」

…そして行政の影響が大きい。欧米では曲がりなりにも、政府機関が検診中止を勧告したりして、国民寄りの姿勢を見せています。ところが日本では、厚生労働省(厚労省)が音頭をとって検診を推進しているのです。その好例が肺がん検診で、胸部エックス線撮影が有害無益という、比較試験結果が公表されたのが1986年。欧米ではこうした試験結果をうけ、ついに肺がん検診が開始されることすらなかったのです。

 ところが厚生省(現厚労省)は87年に老人保健法を改正し、市町村に肺がん検診をするよう仕向けました。比較試験結果が公表された翌年のことです。結核が激減したため、結核予防会などが行う検診事業の救済策だったと考えられます。

 そして2002年、厚労省は健康増進法を制定し、肺がん検診を含む種々の検診を健康増進事業として市町村が実施するよう義務付けました。検診の無料クーポンが届けられ、「検診を受けられましたか」という電話がかかってくるようになったのはその為です。制定当時。あらゆる検診の無効性がデータ上明らかだったので、健康増進法の目的は別にあります。

ひとつは厚労省の権限拡大。

もう一つは医療産業の保護・育成。

文藝春秋2016年5月号[雑誌] p.324)

2016年3月27日日曜日

熱くなっている頭を冷やす

とりあえず休む。
実を言えば、このコツは軍隊時代に得たものである。行軍する時、休みもなしに強行軍すれば、兵はバタバタ倒れる。たとえ、5分、10分といえども、小休止をとりさえすれば、そんなことはおこらない。「買う」「売る」「休む」である。アメリカのウォール街でも同じことが格言として言われているという。
「休む」、この時が肝心である。熱くなっている頭を冷やすのである。(『そろばん (PanRolling Library)
』 山崎種二)

2016年3月26日土曜日

ビジネスとは何か?

ビジネスとは何か?
とてもシンプルなことです。
求める人と与える人のエコシステム(生態系)。
これが、ビジネスの本質です。
お腹が空いた人に、おいしい料理を出す。
冬の寒い日に、あたたかい衣服を差し出す。
手持ちぶさたな人に、手軽なゲームを提供する。
どんなことでもいい。 人が求めているものを与えることができる人は、どんな時代になっても生きていくことができる。 それが、ビジネスのたったひとつの原則だと思うのです。(『シンプルに考える』 森川亮さん著、P.028)

2016年3月13日日曜日

相場の極意書『三猿金泉録』に通ずる「付かず離れず」の境地

松辰は能楽が好きである。小春日和の日曜日の朝、くつろいで新聞を読んでいて梅若萬三郎の言葉が目に止まった。「謡曲は謡うて謡わず、謡わずして謡う。舞は、舞うて舞わず、舞わずして舞う」。松辰はこれだ、と思わずひざをたたいた。「ソロバンは持って持たず、持たずして持ち、相場の足には、付いて付かず、付かずしてつく」・・・ この「付かず、離れず」の境地こそ、相場の極意書『三猿金泉録』の「理と非との、中に籠れる理外の理、米の高下の源と知れ」と通じるものだと、松辰は強調している。(『相場師奇聞』P.26-27より 相場師奇聞 兜町の魔術師天一坊からウォール街の帝王モルガンまで

2016年2月21日日曜日

古代ローマの消費税

古代のローマの消費税と言えば売上税と関税がプラスした率になるが、帝国の首都ローマでのそれが6パーセントでも、国境に沿って連なる軍事基地のある地方は、最高でも3パーセントだった。

理由は、蛮族という仮想敵への最前線に位置することと、それへの対応策である軍事基地があることへの補償、であるのはもちろんだが、それだけではない。

ローマの軍団基地は必要な物資を周辺地域から購入することを義務づけられていたので、消費税を低く押さえることによって、その地域へのヒトとカネの導入を狙った策でもあったのだ。

BUNGEISHUNJU 2016.3, P92-93 文藝春秋2016年3月号[雑誌]

2016年2月13日土曜日

しゃぶしゃぶ

…そんな静かな一角で、元はお茶屋だった築150年の木造家屋が、どっしりとした存在感を放って佇んでいる。戦後ずっと、「十二段家本店」が暖簾を掲げ続けてきた建物である。

店の創業自体は大正時代にまで遡る。名物のお茶漬けで長らく知られたが、戦後すぐにここへ移転してからは、良質な肉を気前よく供するとして評判になった。

昭和22年には、新たなメニューと称して「牛肉の水炊き」なるものを編み出し、評判をとった。

中国の火鍋をヒントにした料理で、沸騰した鍋の湯に牛肉をくぐらせ、タレをつけて食べるもの。つまりは現在でいう「しゃぶしゃぶ」だ。

今ではすっかり定番中の定番となったこの牛肉の食し方は、同店を嚆矢とする。

(BUNGEISHUNJU 2016.2, 名作 名食)文藝春秋 2016年 02 月号 [雑誌]

敵は、恐怖心それ自体にある。(フランクリン・ルーズベルト大統領)

U2は昨年12月6、7の両日、パリでコンサートを開いた。

もともと11月14、15の両日、開催の予定だったが、その前日のISテロ事件で急遽、キャンセルした。

テロは、コンサート・ホール、バタクランで米国のバンド、EODM(イーグルズ・オブ・デス・メタル)の演奏中に起こった。

U2は、恐怖のさめやらぬ3週間後再び、パリで興行した。その際、EODMを招待し、演奏の最後に彼らと一緒にパティ・スミスのPeople Have the Powerを歌った。

U2はアイルランドのバンドである。ここは長い間、アイルランド共和軍(IRA)のテロに苛まれた。リードボーカルのボノ自身、14歳の時、33人の犠牲者を出したダブリンのテロの現場に居合わせたトラウマを引きずっている。

ボノはニューヨーク・タイムズの質問に、次のように答えている。

「テロリズムは人々が恐怖に駆られることを前提にしている。僕たちは絶対にそうはさせない。だから、ロックン・ロールをやる。ロックは生を楽しみ、挑むことを喜びとするからだ」

「化け物をやっつけるために自ら化け物になってはいけない、とアイルランドでは互いに言い聞かせている」

(BUNGEISHUNJU 2016.2, p223)文藝春秋 2016年 02 月号 [雑誌]

2016年1月1日金曜日

近代国家の不可欠の要素

内戦によって生じているのは、各国の政権の崩壊だけでなく、その前提となる「国家」そのものの弱体化である。マックス・ウェーバーによれば、「正統な暴力の独占」こそが近代国家の不可欠の要素である。内戦の激化・長期化によって、アラブ諸国の一部ではこの国家の要件が失われかけている。(文藝春秋オピニオン2016年の論点 p.39) 文藝春秋オピニオン2016年の論点100 (文春MOOK)

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