2016年2月13日土曜日

敵は、恐怖心それ自体にある。(フランクリン・ルーズベルト大統領)

U2は昨年12月6、7の両日、パリでコンサートを開いた。

もともと11月14、15の両日、開催の予定だったが、その前日のISテロ事件で急遽、キャンセルした。

テロは、コンサート・ホール、バタクランで米国のバンド、EODM(イーグルズ・オブ・デス・メタル)の演奏中に起こった。

U2は、恐怖のさめやらぬ3週間後再び、パリで興行した。その際、EODMを招待し、演奏の最後に彼らと一緒にパティ・スミスのPeople Have the Powerを歌った。

U2はアイルランドのバンドである。ここは長い間、アイルランド共和軍(IRA)のテロに苛まれた。リードボーカルのボノ自身、14歳の時、33人の犠牲者を出したダブリンのテロの現場に居合わせたトラウマを引きずっている。

ボノはニューヨーク・タイムズの質問に、次のように答えている。

「テロリズムは人々が恐怖に駆られることを前提にしている。僕たちは絶対にそうはさせない。だから、ロックン・ロールをやる。ロックは生を楽しみ、挑むことを喜びとするからだ」

「化け物をやっつけるために自ら化け物になってはいけない、とアイルランドでは互いに言い聞かせている」

(BUNGEISHUNJU 2016.2, p223)文藝春秋 2016年 02 月号 [雑誌]

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