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2016年6月25日土曜日

この峠の頂上に、天下茶屋といふ、小さい茶店があって

「御坂峠、海抜千三百米。 この峠の頂上に、天下茶屋といふ、小さい茶店があって、井伏鱒二氏が初夏のころから、ここの二階に、こもって仕事をして居られる。 私は、それを知ってここへ来た。 井伏氏のお仕事の邪魔にならないやうなら、隣室でも借りて、私も、しばらくそこで仙遊しようとおもってゐた。」(太宰治『富嶽百景』)文藝春秋 2016年 06 月号 [雑誌] 名作 名食より

2016年2月13日土曜日

しゃぶしゃぶ

…そんな静かな一角で、元はお茶屋だった築150年の木造家屋が、どっしりとした存在感を放って佇んでいる。戦後ずっと、「十二段家本店」が暖簾を掲げ続けてきた建物である。

店の創業自体は大正時代にまで遡る。名物のお茶漬けで長らく知られたが、戦後すぐにここへ移転してからは、良質な肉を気前よく供するとして評判になった。

昭和22年には、新たなメニューと称して「牛肉の水炊き」なるものを編み出し、評判をとった。

中国の火鍋をヒントにした料理で、沸騰した鍋の湯に牛肉をくぐらせ、タレをつけて食べるもの。つまりは現在でいう「しゃぶしゃぶ」だ。

今ではすっかり定番中の定番となったこの牛肉の食し方は、同店を嚆矢とする。

(BUNGEISHUNJU 2016.2, 名作 名食)文藝春秋 2016年 02 月号 [雑誌]

2015年10月21日水曜日

醤油煮にしたら

「当時(徳川家康が江戸に入った頃)はとくに冬の白魚が有名で、初夏の鰹とともに江戸っ子に喜ばれました。はじめは保存食として塩煮にしていましたが、下総から醤油が入るようになって醤油煮にしたら、佃煮と大評判になりました」(天保八年創業の佃煮屋「天安」鎌田さん)BUNGEISHUNJU 2015.11
文藝春秋 2015年 11 月号 [雑誌]

2015年8月30日日曜日

人形町へきて「魚久」へ寄らないのは片手落ちであろう(向田邦子『女の人差し指』)

 「粕漬は元来、保存食でした。日本は古来、海とともにある国ですから、いかに魚を上手に食べるかの創意工夫は欠かさなかった。その成果の一つが粕漬です。味はしっかり沁み込んでいますので、粕は洗い落として調理を」とは、魚久の小澤美昭総務部長。
 そう、向田邦子もエッセー内で、「味に自信があるのだろう、切身は必ず水洗いして、かすを取って焼いて欲しいという。その通りにしてみたが、実にいい味である」と言及する。粕漬をおいしく食べる大事なポイントだ。生活の細部に根付く愉しみや歓びに誰より敏感だった彼女が、この食べ方のコツを書き逃すわけはないのだった。(BUNGEISHUNJU 2015.9 p236と237の間の「名作 名食」より)文藝春秋 2015年 09 月号 [雑誌]

2014年12月7日日曜日

醤油の五種類


濃口醤油(全国)
コクのある味と香りから、日本全国で親しまれている最も一般的な醤油。国内生産量の8割以上を占めます。
 
淡口醤油(関西)
関西地方生まれの色の淡い醤油。発酵と熟成を穏やかにするため、食塩を濃口より多めに使っています。
 
溜醤油(中部)
主に中部地方で作られており、とろみと濃厚なうまみ、香りが特徴。濃口よりも小麦の量を少なめにして作られます。
 
再仕込醤油(山口、山陰、九州)
生醤油に麹を加えて仕込む、つまり醤油で再度仕込むから「再仕込み」と呼ばれる。刺身のつけ醤油などに用いられます。
 
白醤油(愛知)
原料の大豆を少なくしてほとんど小麦と塩だけで作る醤油。色の薄さと香りを生かした吸い物などに使われます。

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