2019年10月22日火曜日

表現者というのは対話者です…もちろん、がんは答えてくれません。でも話をしているうちに…(大林監督)

…表現者というのは対話者です。だから、僕は「おい、がんよ、お前さんも生きたいだろうから一緒に暮らしていこうよ」と体の中に語りかけるんです。「あと二十五年くらいなら俺がお前の面倒をみてやるから、少しは俺のために我慢するくらいの努力をしてもおかしくないんじゃないの?」とね。二十五年というのは、人間は今の時代、大病や事故がなければ百十歳、百二十歳まで生きられるという説から出たものです。

もちろん、がんは答えてくれません。でも話をしているうちに、この僕自身も、地球にとってはがんだと気がつきました。


いかに僕ら人間が勝手気ままに暮らしてきたことが、自分の暮らす地球を壊してきたか。戦争もそうです。そんなことに思いを巡らせながら、「よし、お互いに少し我慢して優しくなろうね」とがんと自分に言い聞かせています。


( BUNGEISHUNJU 2019.10, P292, 大林宣彦監督「余命3ヶ月宣告から3年生きた」より)

2019年10月21日月曜日

世界的に推奨されているエビデンス医療政策のキャッチフレーズ STAX

… 世界的に推奨されているエビデンス医療政策のキャッチフレーズとして「STAX」という言葉があります。砂糖(Sugar)、たばこ(Tabacco)、アルコール(Alcohol)に税(Tax)をかけた言葉で、これらの健康を害するものに税金を課して消費を抑制すれば、コストをかけずに病気を予防できるという意味が込められています。

 STAXのうち、日本で完全に見逃されているのが「砂糖」の害です。砂糖を摂取すると、ブドウ糖と果糖に容易に分解されるのですが、このブドウ糖がインスリンの分泌を強力に促します。その結果、インスリンが血糖値を急激に下げるので、また強い空腹感を感じるようになり、さらにカロリーを摂取するようになります。つまり、砂糖は肥満の大きな要因であり、糖尿病を始めとする生活習慣病の元凶なのです。

2016年10月にはWHO(世界保健機関)が、世界の全ての国に対して砂糖入り飲料に課税するよう勧告しています。

 また、WHOはベーコン、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、コーンビーフ、ポークランチョンミート、スパムといった加工肉を、たばこやアスベストを同じ程度の「確実な発がん物質」と指定しています。これらをたくさん食べ続けると、大腸がん、膵がん、乳がん、胆嚢がんの発症リスクが上がります。また、加工肉は動脈硬化や糖尿病の発症とも関連すると報告されています。
(BUNGEISHUNJU 2019.10 P251)

2019年9月29日日曜日

政権与党や為政者あるいは政策の変更に左右されずに正確なデータを供給できる統計機関が必要

…でも選挙によって政治家が選ばれる民主主義国家では、やはり最終的に同じ要素が重要になってくる。それは政治的に独立していて、政権与党や為政者、あるいは政策の変更に左右されずに正確なデータを供給できる、統計機関の存在です。透明性が高くて信頼できるデータに、国民がいかにアクセスできるような状況を作っていくか。これは今後の日本にとっても、鍵となるのではないでしょうか。(BUNGEISHUNJU 2019.9 P.287)

2019年9月4日水曜日

花嫁のれん

花嫁のれんは嫁入り道具、能登の嫁入の風習だ。花嫁の実家が家紋入りの暖簾を作り、花婿の家の仏間にかける。花嫁はその暖簾をくぐり抜け、嫁ぎ先の仏壇に嫁入りの挨拶をする。花嫁のれんは、新婦の幸せを祈って作られ、幸せの門出を祝うためにある。(BUNGEISHUNJU 2019.8 btw p236 & p237)

2019年3月22日金曜日

いま世界の債務残高は

これまでもそうだったように、世界経済を脅かす不安材料は今回も債務だ。いま世界の債務残高は、金融危機が始まる前よりも大きく膨れ上がっている。国際決済銀行(BIS)の推計によれば、2017年末時点でのその金額は世界のGDP217%という途方もない規模に達している。これは、2007年に比べて1.2倍以上の金額だ。新興国に限って言えば、債務総額は2007年の1.5倍に上っている。BUNGEISHUNJU 2019.2 p.270

2019年3月21日木曜日

宋の子罕

昔、支那の宋の国に子罕という人があって、或る人がこの子罕に大変結構な一つの玉を進上しようと言うて来た。所がその子罕がそれを退けて、これは受けることが出来ないと言うた。その人が言うに、私は折角あなたに進上しようと思うのにあなたが受けられぬというのは、何かこの玉に欠点でもあるのか。もしそうならば玉造りに見せて、調べさせても宜いが、この玉は最も優れたる玉という鑑定を得て、態々あなたに進上したいと思って持って来た、どうしてもこれを受けて下さらぬかと言うたならば、子罕が答えて言うのには、「我は貪らざるを宝となす」。今、私に下さろという玉は世の中の宝であろうが、吾れに於いてそれは宝ではない。吾れ自身に於ては貪らざるこの精神上の一つの趣味を以ってそれを宝として居る。玉の様な宝物は他の人に与えたら宜しかろうと言うて、玉を受けなかったという.... (『禅海一瀾講話』釈 宗演 岩波文庫 p496-497, 『春秋左氏伝』襄公 15年)

2019年2月26日火曜日

佃煮

当時(徳川家康が江戸に入った頃)はとくに冬の白魚が有名で、初夏の鰹とともに江戸っ子に喜ばれました。はじめは保存食として塩煮にしていましたが、下総から醤油が入るようになって醤油煮にしたら、佃煮と大評判になりました」(天保八年創業の佃煮屋「天安」鎌田さん)BUNGEISHUNJU 2015.11

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