2015年8月21日金曜日

信陵君を理想とした劉邦

ある時、隣国の趙が秦に攻め込まれ、存亡の危機を迎えます。信陵君の兄の安釐王は、同盟関係にある趙に救援を求められ、形ばかりの援軍を出すものの、強国、秦の報復を恐れて、積極的に戦いに加わらぬよう、将軍に言い含めていました。信陵君はこの義侠心に悖る行動に怒った。そこで、援軍を率いていた将軍を殺し、自分自身が将軍となり秦と戦ってしまうのです。結果は、信陵君の率いた魏軍の大勝利でした。この出来事を知って世間は大喝采をします。この義侠心と軍事的才能を兼ね備えた信陵君を理想としたのが劉邦でした。自分は信陵君のような名門の出身ではないけれども、いつの日か、「弱きを助け、強きを挫く」、ような人間になりたいと考えたのです。BUNGEISHUNJU 2015.8 p112
文藝春秋 2015年 08 月号 [雑誌]


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