2013年11月11日月曜日

日本社会の価値観が急変した時期について

90年代初頭の日本では、バブル崩壊後の不況下においても、ほぼ横ばいか若干のプラスの経済成長率を記録していた。しかし、97年から98年にかけて北海道拓殖銀行、山一証券、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行と大手の金融機関が続けざまに破綻した。これはいわば4回続けてリーマンショックを経験したことと同じである。ジェームズ教授(プリンストン大学のハロルド・ジェームズ教授)の説に拠れば、まさに日本社会の価値観が変わったはずである。指標をみると、確かにこの時期を境に大きな変動が読み取れる。よく言われていることだが、自殺者の数は、97年までの2万人台から一気に3万人台に跳ね上がった。消費者物価指数は98年から7年連続マイナスを記録。非正規労働者の割合は21%前後から最近は35%前後、生活保護実数世帯数や生涯未婚率の急増、若者の勤勉さに対する意識の変化など、日常生活にもその影響が及んでいる。(文藝春秋2013年8月号P80より)

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