2017年10月23日月曜日
ツキジデスの罠
「ツキジデスの罠」は、紀元前五世紀、古代ギリシャ世界において、内陸指向国家で覇権国のスパルタが、急激に勃興する都市海洋国家のアテナイに恐怖心を抱き、戦争に至ったペロポネソス戦争を記述した歴史家のツキジデスに由来する。「アテナイの興隆とそれがスパルタに与えた恐怖、それが戦争を不可避とした」、ツキジデスは、そのように断じた。新興国の自信過剰とおごりと覇権国の自信喪失と恐怖感、追う者と追われる者とのこうしたゼロ・サム心理こそが、パワーの均衡と安定の最大の敵、つまり「罠」だというのである。(BUNGEISHUNJU 2017.10, P222) 私はこのツキジデスの罠は、国際政治の世界における中国と米国の関係から、果ては人間ひとり対ひとりに至るまで、この世の中に「ゆらぎ」を生じさせる力の一つのように思える。
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